2021年2月の読書記録

2月は別記事で感想を記したD.カーネギーの「人を動かす」を含め、全4冊を読了。
個別で感想を書くと言っておきながら結局まとめて感想を書くことになってしまった。
 
・多田麻美「中国、古鎮をめぐり、老街を歩く」亜紀書房(2019年)
 
中国の歴史は長しといえど、急速な発展や歴史的な経緯によって、
昔ながらの姿を保った街並(古鎮・老街)を見つけることは難しくなっている。
 
それこそ、この本で紹介されている風光明媚な地区の数々も
発刊から2年たった今では跡形もなくなってしまったかもしれない。
そう思ってしまうほどにこの国のスクラップ&ビルドのサイクルは凄まじい。
 
著者の旅行記は、古鎮・老街の地理・風土・人々の営みだけでなく、
これらの街並みが置かれている状況についても詳しく述べられている。

水運から陸運へのシフト等によって活気を失い取り壊しを待つ街、
観光地として脚光を浴びたが、観光資本の投入により古来の姿を失いつつある街、
中にはうまくバランスを取りながら旧来の街並と生活を保つ地域もあるが、
だいたいがこの二択である。
 
自分自身、上海の南翔・朱家角、西安の回族街では観光地化による街の浸食を
目の当たりにしたが、中国の観光地の無節操さは日本の比でないような気がする。
 
それが現地の人々の食い扶持と歴史的な街並の保全資金を得る手段とは
頭では分かっていても、やはり寂しい気持ちになってしまうし、
辺鄙な場所でも構わずに古鎮・老街を巡り歩く著者の気持ちがわかる気がする。
 
・郡司芽久「キリン解剖記」ナツメ社(2019年)  
 
自分は中学で早々に理系の道を諦めたこともあり、
理系の人間に対しては強いあこがれを抱き続けている。
 
子供の頃には動物が好きで図鑑を読みふけっていたし、
中学の時には建築士に憧れたから理系に進むべきだったのだが、
いかんせん脳みその作りが全く論理的な思考に向いていなかった。
今でも理系に進む努力をすべきだったのかなと後悔する時がある。
 
本書は著者が大学に入学し、キリンの研究者を志すまでの過程と、
「第8の頸椎」としての第一胸骨の役割を発見するまでの道のりを
記したエッセイである。  

動物が好きで手に取った本であったが、
憧れていた理系学生がどのようにして研究者への道を開き、
テーマを獲得するのかという点においてもとても興味深い内容であった。
 
・ 丹羽宇一郎「人は仕事で磨かれる」文春文庫(2008年)
 
著者の丹羽氏は伊藤忠商事の社長として数々の改革を成し遂げ、
民間出身で初めて中国大使を務めた人物でもある。

それほどの人でも本書が書かれた2008年には日本が中国に
経済的に追い抜かれるとは予見をしていなかったことから、
改めて中国経済の急成長ぶりを実感した。

本の内容としては生い立ちから社長就任までの自分史、
長年の経験の中で培った仕事論についてである。
 
常日頃扱う仕事のスケールは天地の差があるものの、
仕事に対する理念、特にトップはどうあるべきかという点は
非常に強く共感できるものであった。
 
 
以上

 
 
 



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